MRIとは?
MRI(Magnetic Resonance Imaging)は、磁力を利用し人体を構成する元素の中の水素原子や燐原子からの信号で体内を画像化し、それによって診断を行います。
磁石の力を応用して、人間の体の断層像を得る装置で、1.5テスラという強い磁力が必要なため液体ヘリウム(沸点は-268.9℃)を使って強力に冷やして超伝導による磁力を作っています。そのため金属(特に磁石に引っ張られる鉄など)は、機械に引っ付いてしまうため近付けることができません。人の体に埋め込んだ機械などは作動しなくなることもあります。MRI検査を受けられる方には前もっていろいろお尋ねすることになっています。
MRIは、現在最も優れた画像診断装置の一つで、脳神経系の診断には必要不可欠なものといえます。
MRIの有用性
- 無侵襲、無障害で安全に検査が行えます。
X線のように被爆の心配や検査に伴う副作用がありません。 - 軟部組織間のコントラストが高く、それぞれが区別しやすくなっています。
脳の構造を識別するのに有用です。 - アーチファクト(画像の乱れ)が少ないです。
骨や空気には水素原子がほとんどないため信号がでず、これによる乱れのない画像が得られます。頭蓋骨・後頭蓋窩・脳幹部・脊髄・脊椎などの骨や空気に囲まれた病変も見逃しません。 - 情報の違う種々の画像が得られます。
画像を得る条件を変えるとコントラストが変化し、診断するのに有効な影像が得られます。 - 任意断層面がダイレクトに得られます。
身体の縦、横、斜めや輪切りにした像及び任意の断層像の描写が可能であり、病巣の拡がりを把握できます。又、任意断面像による三次元的情報により手術の位置決めや放射線治療に有効です。 - 血管情報が得られます。
血液の流速や方向を知ることができ、脳や頚部の血管画像も見ることができます。 - 生化学情報が得られます。
水・脂肪分離画像法を採用することにより水画像と脂肪画像の両者を分けて画像化することなどができます。
上記のように、人体には安全で無痛のものですが、検査中耳元で大きな音がします。
又、狭い所で動かずに寝ていなければなりません。
それによる苦痛が多少伴いますので、このことをご承知の上、検査をお受け下さい。
注意事項
次の事項に該当する方は、必ず医師又は看護師に申し出て下さい
- 心臓のペースメーカーを使用してる方
- 手術(特に整形・脳・心臓血管)などにより体内磁性体を埋め込んでいる場合
- 現在、妊娠初期又は妊娠中の方
- 入れ歯などのように体内に金属を装着している方
- 仰臥位(仰向け)になれない方
- 閉所恐怖症
次の事項に該当するものは、必ず身体から取り出してください
- 金属製のもの(使い捨てカイロ・時計・指輪・眼鏡・ネックレス・イヤリング・ヘアピンなど)
- 磁気を使用したもの(磁気カード・キャッシュカード・テレホンカード・エレキバンなど)
- 金属のついている下着